大断面装甲ケーブルにおけるポリエチレンシース亀裂の解析

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大断面装甲ケーブルにおけるポリエチレンシース亀裂の解析

CVケーブル

ポリエチレン(PE)は、電力ケーブルおよび通信ケーブルの絶縁体および被覆PEは優れた機械的強度、靭性、耐熱性、絶縁性、化学的安定性を備えています。しかし、PE自体の構造特性上、環境応力亀裂に対する耐性は比較的低いです。この問題は、PEを大断面装甲ケーブルの外皮として使用する場合に特に顕著になります。

1. PEシース割れのメカニズム
PE シースの亀裂は主に次の 2 つの状況で発生します。

a. 環境応力割れ:ケーブル敷設・運用後、複合応力や環境媒体への曝露により、シースが表面から脆性亀裂を生じる現象を指します。主にシース内部の応力と極性液体への長期曝露によって引き起こされます。材料改質に関する広範な研究により、この種の亀裂は大幅に改善されました。

b. 機械的応力亀裂:ケーブルの構造的欠陥や不適切なシース押出工程によって発生し、ケーブル敷設時に著しい応力集中と変形誘起亀裂を引き起こします。このタイプの亀裂は、大断面鋼帯装甲ケーブルの外被でより顕著に発生します。

2. PEシース割れの原因と改善策
2.1 ケーブルの影響スチールテープ構造
外径の大きいケーブルでは、装甲層は通常、二重のスチールテープで覆われています。ケーブルの外径に応じて、スチールテープの厚さは異なります(0.2mm、0.5mm、0.8mm)。厚い装甲スチールテープは剛性が高く、可塑性が低いため、上層と下層の間隔が広くなります。そのため、押し出し加工時に、装甲層表面の上層と下層のシース厚さに大きな差が生じます。外側のスチールテープの端にあるシースが薄い部分は、最も大きな応力集中を受け、将来的に亀裂が発生する主な箇所となります。

装甲鋼管が外皮に及ぼす衝撃を緩和するため、鋼管とPEシースの間に一定の厚さの緩衝層を巻き付けるか、押し出します。この緩衝層は、皺や突起がなく、均一な密度である必要があります。緩衝層の追加により、2層の鋼管間の平滑性が向上し、PEシースの厚さが均一になります。また、PEシースの収縮と相まって、内部応力が低減されます。

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2.2 ケーブル製造プロセスの影響

大外径外装ケーブルシースの押出工程における主な問題は、冷却不足、不適切な金型準備、そして過剰な延伸率であり、結果としてシース内に過度の内部応力が生じます。大口径ケーブルは、シースが厚く幅が広いため、押出生産ラインにおける水トラフの長さと容量に制約を受けることがよくあります。押出成形中に200℃を超える温度から室温まで冷却することは、大きな課題となります。冷却不足は、外装層付近のシースが軟化することにつながります。ケーブルをコイル状に巻く際にシース表面に傷がつき、最終的にはケーブル敷設中に外力によって亀裂や破損が生じる可能性があります。さらに、冷却不足はコイル状に巻いた後の内部収縮力を増大させ、大きな外力によってシースが割れるリスクを高めます。十分な冷却を確保するためには、水トラフの長さまたは容量を増やすことが推奨されます。適切なシースの可塑性を維持しながら押出速度を下げ、コイル状に巻く際に十分な冷却時間を確保することが不可欠です。さらに、ポリエチレンを結晶性ポリマーとみなすと、70 ~ 75°C から 50 ~ 55°C、そして最終的に室温までの段階的な温度低下冷却法が、冷却プロセス中の内部応力の軽減に役立ちます。

2.3 ケーブルの巻き取り半径の影響

ケーブルを巻き取る際、メーカーは適切な送出リールを選択するための業界標準に準拠しています。しかし、外径の大きいケーブルの長い送出長に対応するには、適切なリールの選択が課題となります。指定された送出長を満たすために、一部のメーカーはリールのバレル径を縮小しますが、その結果、ケーブルの曲げ半径が不十分になります。過度の曲げは外装層の変位につながり、シースに大きなせん断力が発生します。ひどい場合には、外装鋼板のバリがクッション層を突き破り、シースに直接埋め込まれ、鋼板の端に沿って亀裂や裂け目が生じることがあります。ケーブル敷設中、横方向の曲げと引っ張りの力により、特にリールの内層に近いケーブルでは、これらの裂け目に沿ってシースに亀裂が生じ、破損しやすくなります。

2.4 現場施工・設置環境の影響

ケーブル施工を標準化するためには、ケーブル敷設速度を最小限に抑え、過度の側圧、曲げ、引張力、路面衝突を避け、良好な施工環境を確保することが推奨されます。ケーブル敷設前に、ケーブルを50~60℃に放置し、シース内部の応力を解放することが推奨されます。ケーブルを直射日光に長時間さらさないでください。ケーブルの両側の温度差により応力が集中し、敷設中のシース割れのリスクが高まります。


投稿日時: 2023年12月18日